エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。
「荷物取りに行ってくるから、大人しく待ってて。逃げようとしても無駄だからね?」
「えっ」
「じゃあね」
そう言って部屋を出て行ってしまい静かな空間で一人ぼっちにされてしまった。だけどすぐに戻ってきて千晃さんはジャケットを脱ぐと「お茶淹れるね」と行ってキッチンに立った。
麦茶をグラスに淹れてソファの前のテーブルに置いた。
「……大体の話は七瀬社長に聞いたよ。俺のために怒ってくれたんだって?」
「……っ……」
「香澄さん、ありがとうね。だけど七瀬医療製品会社に入るのは前から考えていたんだ」
……え? 前からって、どういう……
「お見合い後だったかな、七瀬社長に誘われたんだよね。ヘッドハンティングされた」
「……え?」
「会社でアプリケーションスペシャリストとして働かないかって」
あぷり、けーしょん……すぺしゃりすと?