ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
ガタンゴトン
ガタンゴトン

空いている車内
2人は隣同士に座った
繋いだ手は克の膝の上
意識すると、じんわり汗ばむような気がした。

「舞の手、ちっちぇー。」

そう言うと克が繋いでいる手を
ニギニギと動かした。

「そうかなぁ。克が大きいから
そう感じるだけかも。」

舞もぎゅっと握りかえす。

「…俺、ちょっと手汗やべーかも。」

「ふふ、私もだから。」

そう言うと、少し繋いだ手を緩めた。


「あ、海。」

何駅か過ぎると、窓の外に
青い世界が広がった。
舞が、窓の方へ身体を乗り出す。

「綺麗。キラキラ光ってる。」

太陽に照らされた海面が
キラッキラッと反射している。

「次、降りるよ。」

克が舞の手を引いて席を立った。

プシュー

電車が止まった。
その反動で舞がよろっとバランスを崩した。

「よっと。大丈夫?」

「うん。ごめん。踏ん張りが足りなかった。」

恥ずかしそうに笑う舞。
克の胸に支えられ
ドキンと脈打つのがわかった。
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