ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
「福浜駅、久しぶりに来たよー。」

舞が改札の外に出ると
大きく息を吸い込みながら言った。
爽やかな風とともに、潮の香りがする。

「海開きは、まだだけど
海沿い、色々店できてきたなぁと思って。
ゆっくり散歩するのもいいし。」

「そうだね。
克、色々考えてくれてありがとう。」

「俺が舞と来たかったから。」

さらっと言う克。

「…克ー、もう反則だよー!
何かもぉ、ずっと克にドキドキしてる。
格好いいー!ずーるーいー!」

舞が腕にしがみついて言った。

「そりゃどうも。初彼マジックってやつ?
付き合い長くなったら
幻滅していくのはナシな。」

克はそう言って笑った。

「克、私は克が初恋で…
もちろん初めての、か、彼氏なんだけど…
その、克は今まで、好きな子とかいたの?」

舞が急に真剣な顔をして尋ねた。
聞きたいけど、聞きたくない
そんな気持ち。舞の表情が少し曇る。

「俺も舞が初めて好きになった子だよ?
だから…この前は、がっついてごめん。
初めて部屋に呼んで、あんなんじゃ
舞に嫌われたかなーってずっと心配だった。」

この前のことを思い出して赤くなる舞。

「…びっくりはしたけど…
嫌じゃなかったよ。…大好きってなった。」

そう言うと舞は克の手を
ぎゅうっと握りしめた。

「ならよかった。でも今日は
あんなことにならないよーに
外でデートだから!清らかで爽やかだから!」

「清らかで爽やかって何それ!」

舞が吹き出す。

「俺の煩悩にサヨナラだから!」

「え…じゃぁ、もぉ甘えちゃダメ?」

舞が克の目を覗きこむ。

「う…ダメ…じゃない。
てか、本当頑張れ俺…舞が可愛いすぎて
すぐ襲っちゃいそう。」

「ばか。それこそ初カノマジックで
後で幻滅しないでね。」

舞が克の腕にグーパンチした。
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