ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
「希望ちゃん、今日俺部活なくって
もしよかったら今から合唱コンクールの
準備できないかな?
…あ、美術部、今日部活ある?」

放課後、拓実が希望の席にきて言った。

「ううん。美術部も今日
テスト明けで休みだったよ。
準備、もちろん!ありがとう。
皆にも声かけてみようか?」

ニコッと笑う希望。
キョロキョロと周りを見渡した。

「いや、皆呼ぶほどはないってゆーか
(たまには、2人がいいってゆーか)
リーダーと副リーダーでできる範囲で!」

心なしか拓実の声に力が入る。

「ふふ。うん。できる範囲でね。
じゃあ、色々材料もって、美術室行こうか。
今日誰も使ってないはずだから。」

そう言うと、希望は手際よく荷物をまとめた。

「うん。あ、俺いっしーに模造紙とか
ペンとか借りてくる。希望ちゃん先行ってて。」

教室を出る時に、拓実は思い出したように
そう言い、職員室の方へ駆けていった。

(拓実くんと2人かー。
…どうしよう緊張しちゃう。2人きりって
中学校の時の日直の時以来かな。
拓実くんは、忘れちゃってるかもだけど
あの時、日誌書きながら拓実くんの
サッカーの話聞いたり、飼ってる犬の話題で
盛り上がったりしたんだよね…。
ちょっとトイレ寄って鏡見て行こ。)

希望は、小走りにトイレへ向かった。
< 124 / 294 >

この作品をシェア

pagetop