ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
「はっ、…ごめん。はぁ、遅くなった。」

息を切らしながら
拓実が美術室に入ってきた。

「全然大丈夫だよ。それより荷物ごめんね。
いっぱいだったね。」

申し訳なさそうに模造紙を広げる希望。

「ううん。ちょっといっしーに
つかまっちゃっただけ。
国語、俺テストやばかったみたいでさ。
半分、説教。」

笑いながら、話す拓実。

「えー、小学校の頃から拓実くん
スポーツも勉強もできるじゃん!
いつも凄いなぁって憧れてたもん。」

キラキラした目で拓実を見る希望。

「いやいや、そんなことないから。
だけど、サッカー部、国語は85点以上
じゃないと許されないわけ。
俺、79点だったから、多分明日
ボール拾いとかだわ。」

肩をすくめる拓実。

「…79点。十分いいと思うけど。」

「…あ、希望ちゃん、今度国語教えてよ。
希望ちゃん得意じゃなかったっけ?
中学校の時も、ドリル結構
見せてもらったもんなー。」

「得意とまではいかないけど
嫌いじゃないかな。うん!いいよ。
いつでも言って。」

「やったー。サンキュー。」

拓実が喜んでガッツポーズをした。
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