ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
ー翌日ー

希望の提案に、クラス全員賛成で
手話をすることになった1年3組。

提案はもとより手作りの台紙にも
感動した生島先生からの提案で
この秘密のアイディアは、絶対に
他のクラスにバラさないという
お達しが出た。

本番当日のサプライズとして
審査委員の点数をとる作戦。

「のんちゃん、よかったな。」

「ううん。たくちゃんのおかげ。」

2人のいつもと違う呼び方と
甘い雰囲気に気付いた舞は
心の中でにやにや。
(後で、希望ちゃんに聞こう♡)

嬉しさでいっぱいの舞が
ふと前を見ると、克と優香の姿が。

指揮に慣れない克の手を取り
拍の取り方を教える優香。

(もー、あんな近寄らなくても。
てか、早く覚えてよー。克のばか。)

「…舞、顔、にやにやしたり
鬼みたいな顔になってたり百面相。」

「詩織ー。彼女として凹むよー。」

詩織にもたれかかる舞。

「しっかりしなさい。克は舞の彼氏でしょ。」

「うー、そうなんだけど。」

再び前に目をやると

「お、今いい感じだった。
さっすがー、優香ちゃん、教え方うまい。」

「もちろーん。克くんやっぱり
背が高いから、指揮者として映えるよー。」

と2人で褒めあう姿が。

「詩織ー。」

「はいはい、言ってるそばから。」

さっきの拓実と希望のやりとりで
幸せな気持ちになったのは束の間
心の中はチクチク、トゲトゲした
気持ちでいっぱいになってしまった舞。

「叩いてこようか?」

詩織が冗談で舞に言う。

「大丈夫。
もう、今日一緒に帰ってやらん。」

ぷうと頬を膨らませて、舞は
パート練習に戻った。
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