ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
ソプラノのパートリーダーが舞
アルトのパートリーダーが詩織
テノールのパートリーダーが大輔

3人が代表して優香の弾くピアノと一緒に
リズムや拍をとる練習をしていく。

克も一緒に残って練習だ。
が、舞は一切克の方を見ない。

「舞ちゃん、音とれてる。上手いよ。」

大輔が褒めてくれる。

「本当?大丈夫かなぁ。」

「うん。大丈夫。その調子。
詩織ちゃんも、難しいパートなのに凄いよ。」

「あー、本当大輔くんって天使。」

舞と詩織が顔を見合わせて言った。

「じゃあ、ちょっとリーダーだけで
音とりしててねー。」

ある程度ピアノと合わせた後、優香が言った。

またピアノと指揮者との練習。
克の後ろにピトッと付いた優香が
克の腕を支えながら指揮を教えている。

(デレデレしちゃって、もー。)

様子が気になる舞は、片目で見ながら
またモヤモヤ。

「舞ちゃん、何か顔暗いよ。
わからないところあった?」

大輔が心配そうに尋ねた。

「そ、そうなんだって。ここわかんなくって。」

楽譜を持って大輔に聞く舞。
フッと、2人の顔が近付いた。

それに気付いた克の手が止まる。

「克くん、余所見しない。集中して。」

後ろから優香の声が聞こえた。

「わりー。…もう一回教えて。」

克も舞も集中できない練習となった。
< 133 / 294 >

この作品をシェア

pagetop