ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
「は、はっ、…舞、大丈夫?」

息を切らして走ってきた克。

「う、うん。大丈夫。」

「…大輔のやつ、何考えてるんだよ!」

「大輔くんは、悪くないの。きっと…」

大輔を庇う舞の声を遮って克が言った。

「…忙しいって、何?
大輔と一緒に帰りたかったから?」

今まで見たことのない怒った克に
舞は何も言えなくなってしまった。

「…舞は大輔が好きなの?」

「ちがっ!」

「…違くないでしょ?
抱きしめられてたじゃん。今。
今日もずっと様子おかしかったし。
音楽室でだって、大輔とずっと近かったし。」

「違うよ。
それに、克だって…やっぱり優香ちゃん
の方がいいんでしょ?
ずっと、近いのは2人の方じゃんっ!」

「何で今、優香ちゃんが出てくるんだよ!」

「ずっといちゃいちゃして。」

「は?いつ?してねーし。
大輔に抱きしめられてた人に言われたくねー。」

「…もう、克より大輔くんの方が
気持ちわかってくれてるもんっ!」

舞も言い方が強くなる。

「…そうかよ。…心配して部活行かずに
追いかけてきたのに。
…じゃあ、俺とじゃなくって
大輔と付き合えばいいじゃんっ!」

「…本当に言ってるの?」

「…ああ。」

「…もぉ、いい。
…じゃあ、克も優香ちゃんと付き合えば?」

涙が溢れた舞は
走ってその場を去ってしまった。
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