ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
ー休み時間ー

「舞、ちょっと屋上行こー。」

詩織が舞を誘う。

「いーよー。」

屋上に向かう途中、詩織は
川が流れ出すようにワッと話し出した。

「もー、何なんなのー!
体育委員、完全にマドンナワールドだわ!
優香ちゃんも杏美ちゃんもロックオン
しちゃってるし、かっちゃんも克も
デレデレだし。…直樹はばかだし。
舞と一緒が良かったよー!」

「確かに。」

「…もう、確かにって言わないで。
かっちゃんはデレデレなんてしないんだから!」

「…詩織、情緒不安定。」

と舞が呟いた。

「よし、部活終わったら直樹に
ちょっと頼んでみるかなー?」

と舞。

「直樹に?何を?」

「恋のキューピッドをよろしくって。」

「ぎゃ!それ私の気持ちが
バレちゃうじゃん。」

「…え、詩織、今さら?
もうバレバレだと思うけど。」

「ええー!!かっちゃんにも?」

「かっちゃんにはバレてないと思う。
野球一筋じゃん?鈍感そう。
中学校の時も何回も告白されてたけど
ぜーんぜんだったじゃん。」

「あ、そうか。」

「でも、本当詩織もかっちゃんに
恋して長いよね。もう何年?」

「4年生の時のクラス替えで
一緒になってからだから…もう5年?」

「長いねー。本当凄いよ。」

舞が尊い目をして詩織を見つめる。

「舞はいい加減好きな人できたー?」

「…好きって気持ちがまだわかんない。
詩織のことは好き。でもこれが好きなら
大体の人のこと好きだなーってなっちゃって。
特別かどうかがわかんないんだよね。」

「舞可愛い。…克は?」

「え?克?な、何で?」

「親友の勘。」

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