ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
「おはようございます。
昨日は、怪我をさせてしまってすみません。
これ…母ちゃんからです。
よかったら、食べてください。」

克は、舞のお父さんにゼリーを手渡した。

「いやいや、こちらこそ。
迷惑かけてしまって。…いやーまさか
脇田さんのところの息子さんだったなんてね。
本当、長い付き合いになるけど
お世話になってるんだ。
親子共々よろしくね。」

舞のお父さんは、不機嫌な様子もなく
穏やかに克に言った。

「本当に、いつもありがとうね。
いつも親切にしてもらって。
昨日はパパと久しぶりにゆっくりできたわ。」

お母さんもニコニコと笑って言った。

「はい、ありがとうございます。
…そしたら、また。舞もまたな。」

そう言うと克は自転車に乗って帰っていった。


「…足はもういいの?」

「うん。克のお母さんが
消毒してくれたからもう大丈夫。」

「本当いい家族よね、克くんのところは。」

「うん!皆仲良しって感じ。」

「うちも負けてはないだろ?」

お父さんが笑って言う。

「そうね。でも本当安心よ。
舞がはじめて好きになった人が素敵な人で。
…お母さんなんか、散々だったわ。」

「お母さんを泣かせる奴なんか
許せんけどな!」

お父さんが笑って言った。

「あなたは…ちーちゃんだったものね。
この頃の元カノは。」

「…まぁ、いいじゃないか。」

「だってね、本当デレデレ
しかしてなかったんだから。写真!
腹立つでしょー??」

お母さんが腰に手を当てて膨れた。

「もう、いつの話ですか?
お母さんも、その頃は
ヤンキーとイチャイチャ…。」

お父さんも負け事とそう言った。

「ふふふ、どっちもいい思い出なんだね。」

「そうねー。だから昨日ね
安心したけど、ちょっと寂しくなったな。
…もう、巣立っていく歳なんだなって。」

お母さんがふと遠い目をして言った。

「…よし、今日は家族でご飯食べと
買い物にでも行くか!」

お父さんが提案した。

「賛成ー!!!」
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