ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
「着いたー。」

チケットを渡してゲートをくぐる2人。
エントランスを抜けると
夏仕様になった涼しげな装飾が目に入った。

「綺麗だねー。」

「1つ1つが可愛いー。」

「さ、何から乗りますか?」

「ちっちゃいコースターがいいな。」

「え?舞、ジェットコースター
苦手なんだっけ?」

克が舞の顔を覗き込む。

「…うー、そうなの。
ずっと前だけに進むんだったら
最悪我慢できるんだけど、後ろ向きに
なったりグルグル回ったりすると無理!」

「まじかー。
じゃあ舞が怖くないのにしよ。
あれは?ちっちゃいやつ。
子どもも乗ってるし。」

克が指差した先には、てんとう虫の
コースターが。
小さい子が乗ってキャーキャー
叫んでいる。

「うん。あれなら大丈夫そう。」

大丈夫とは言ったものの
安全バーが下がるや否や
舞はぎゅっと目を瞑り、克の腕を
がしっと掴んだ。

ガタンガタンガタン

コースターが頂上めがけて進んでいく。

「やっぱりムリムリムリムリムリー!!!」

子どもたちの笑い声とともに
舞の叫び声が響いていた。
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