ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
「舞ー、体育祭まで
一緒に帰れなくなるかも。
部活の後、応援団の練習することになって。
それまで舞を待たせるの悪いから…。
先帰ってて。寝る前電話する。」

克が申し訳なさそうに言った。

「うん!大丈夫だよ。
部活して、応援団して、その後
私の家の方まで来てたら大変だもん。
私も寝る前、連絡入れるね。
練習頑張って!」

舞がパンっと克の背中を叩いた。

(克と帰れなくなるの寂しいけど…
私も自分のこと頑張らなくちゃね。
体育祭終わったら中間テストだし…。
…うん、頑張ろう!)


2限目の体育の時間。
今日は各学年が合わさった練習だ。
男女交互に並んでダンスをするが
その中で、ペアをつくり
自由演技をしないといけないため
今日がそのペアの発表。

皆、異学年、そして男女混合
ということもあって緊張している。

「わー、やっぱり1年生
ちっちぇー。うさぎみたいー。」

声に1年生の女子が振り向く。

「稜ー!声でけーって。」

舞の両隣に来たのは、3年3組の
隈元 稜
瀬戸山 将輝
バスケ部のツートップと言われる2人だ。

柔らかい印象の将輝に比べ
少しミステリアスな雰囲気の稜。

(大きいから、ちょっと怖いな…。
どちらかと言うと瀬戸山先輩の方が
話しかけやすそう。)

舞がドキドキしてペアの発表を待っていると

「若松は、隈元と、赤坂は瀬戸山な。」

と体育の先生からの一言が。

(わー、詩織、いいなぁ。
…よし、でもせっかくのペアだから
頑張らなくちゃ。)
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