ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
「…来てくんないんじゃないかと思った…。」

克が玄関のドアを開けて言った。

「え?メール送ったよ?」

舞が不思議そうに首を傾げる。

✳︎✳︎✳︎

土曜日の夜

[舞、明日俺ん家来れる?
ケーキあるから、一緒食べよー。]

克からのメール。

[やった。嬉しい。お昼過ぎ行くね。]

(よかった。克…普通だ。)

舞は、ほっと安心して眠りについた。


✳︎✳︎✳︎

「…いや、金曜日のことで
舞…俺のこと怖くないかな?と思って。」

克は、自信がなさそうに言った。

「んー、もぉ大丈夫だよ。心配しないで。」

舞がつとめて明るく振る舞う。
そんな舞の気遣いは克にも伝わっているようだ。

「…ありがとう。」

克が言った。

「それよりー、ケーキッ!ケーキッ!」

舞がはしゃぐ。

「昨日、母ちゃんの職場の人が
沢山持ってきてくれてさー
昨日、3人で食べたんだけど
兄ちゃん達遠征で当分実家帰ってこなくて
親父も朝から出張だから
残りは舞と食べなさいって、母ちゃんが。」

克が冷蔵庫からケーキの箱を取り出す。
チーズケーキ、プリンアラモード
チョコレートケーキ、ショートケーキ
が残っていた。

「わぁい。」

「2個ずつ食べる?」

克が聞く。

「夕方、お母さん帰ってくるでしょ?
1個はお母さんにとっておいて
私達は1個ずつ食べて、残り1つを半分こしよ。」

舞が提案した。
< 225 / 294 >

この作品をシェア

pagetop