ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
「ここをこうして。」

「おー、すげー。本当詩織器用な。」

「えっ、詩織私のも手伝ってー!」

「もー、しょうがないなー。
これは、こう。こっちは、こうすれば…
うん。これで大丈夫!」

「わぁ!凄い!できた♡」

詩織の指導のもと、かっちゃんの御守りも
舞の御守りも完成した。

詩織の御守りは、にこちゃんマークに
『全力』と言う文字の刺繍が入っている。
裏側は、野球ボールとバット、そして
ハートが入っている。

かっちゃんは、御守りの形自体が
野球ボールになっている。
ボールの縫い目は、詩織がつけてくれた。

「…2人とも、野球部限定かね?」

直樹が出来上がりを見て笑った。

「…そうじゃないけど、好きなもの
考えてたら、こうなったー。」

「俺もー。」

そう言って詩織もかっちゃんも笑った。

「舞のは?」

直樹が言う。

おずおずと出来上がったものを見せる舞。
そこには、ピンクの桜のマークが。
そして『信じる』と刺繍がしてある。

「舞の、可愛いー!」

「信じるの意味はー?」

「んー。1年生にとって、今度がはじめての
大会だから…緊張すると思うけど
自分や仲間を信じてほしいなって…
桜みると元気がでるし、結果も
サクラサク…みたいな?」

「おー!いいんじゃんっ?」

克も優しく微笑む。

「あんま見ないで。詩織が
手伝ってくれたところ以外は
縫い目ガタガタだから。」

「おっ、本当!」

意地悪く克が言い、皆笑った。
< 24 / 294 >

この作品をシェア

pagetop