ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
「今までサイズ測ったことは?」

試着室で尋ねられる舞。

「いえ、こうやってちゃんと
測ってもらったことはないです。」

「ちゃんと自分の身体にあった
下着のサイズを知ることは
とっても大切なことで
毎日がより快適になるし
美しいボディラインにもなるんですよ。」

柔らかなメジャーで
サッと採寸してくれる店員さん。

「このサイズかな。」

「え…おっきくないかな。」

店員さんが手に取ったサイズを見て
舞は言った。

「ふふふ。つけてみよっか。
少し前屈みになって。」

「こうですか?」

「そうそう。そして脇から中央に
集めるように。…姿勢戻していいよ。」

舞が真っ直ぐ前を向く。

「ストラップの長さを調整して…。
人差し指がすーっと通るくらいを
意識してみてね。
そして後ろを平行に…少し引き下げたら
ほら…とっても綺麗。」

優しく身体を支えてくれる店員さん。

「わー、本当だ。綺麗。
普段のカップより大きいのに、全然違う。」

舞がキラキラした目で言った。

「そうでしょ。そして綺麗に
バストが上向きになってる。
肌が白いから、黒のドットが映えるね。
とっても可愛い。」

店員さんも優しく微笑んで言った。

「本当可愛いです。ただ…このパンツ。」

「あ!紐のこと?はじめてかな?
こういうショーツは。
身体に沿うから着け心地は気持ちいですよ。
私も今着けてるけど、ここをキュッと
絞って結んでみて。」

そう言うと店員さんがショーツを
あてて見せてくれた。
ピンクのレースが可愛い。

「やっぱり可愛いーです。
…チャレンジしてみます。」

「うん。自分の可愛いっていう気持ちが
とっても大切。自分の好きなモノを身につけて
自分の身体を大切にしてあげていると
周りの人への優しさにつながるから。」

「周りへの優しさ…
素敵な考えですね。まずは自分から
大切にしてあげなきゃですね。」

舞が鏡を見ながら言った。

「そう。女の子はキラキラで
溢れているから
毎日って楽しいよね。」

そう話す店員さんは、本当に
キラキラしていて綺麗だった。

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