ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
ー月曜日ー

「おはよう。」

「おはよー。」

クラスメイトと挨拶をかわして席に着く。
克はまだ来ていない。

今日は、授業後のHRで
設営用のメッセージを書いて
教室に設営する日。
生島先生のサプライズも放課後に
セッティングする予定だ。

体育委員の案の御守りも
皆で抽選する予定。

(早く、放課後にならないかなぁ。)
と思いながら窓の外をみる。
ちょうど克が武道館から出てくるのが見えた。

(朝練…頑張ってるんだな。)

克のことを考えると
じわっと心が暖かくなるのがわかる。

「おはよ。」

舞がボーっと考えていると
さっき武道館にいた克がもう隣の席に来ていた。

「あ、おはよう。」

舞も挨拶する。

「下から、舞がボケーってしてるの
見えてた。」

「え?嘘。恥ずかしい。」

舞の顔が赤くなる。

そこへ優香ちゃんがやってきた。

「克くん、おはよう。
御守り、克くんのために作ったから
絶対、あててね♡」

と克の耳元で囁く。

「お、ううん。」

克も動揺して、頷いた。

「本当?嬉しい♡じゃ、また。」

スラっとした身体をひるがえして
優香ちゃんは自分の席に帰っていった。

舞と克の目があった。

プイッ

とっさに舞が窓の外を見た。

(わ、何、私こんな嫌な態度
とっちゃうんだろう。
ただ、優香ちゃんと話してるだけなのに…
近付かないでって思っちゃう。
…嫌だな、自分。)

「まーい、舞?」

克が話かけてくる。

「もう、授業はじまっちゃうから
話しかけないで。」

(わーん。
何で思ってもないこと言っちゃうかなー。)

それから1日、克はずっと
舞に話しかけてくることはなかった。
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