ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
次は、御守りの抽選。
名前順に、皆どんどんひいていく。

ザワザワした声がクラスに響く。

「克ー!!俺、克のひいちまったよー!」

泣きそうな声で直樹が叫ぶ。
手には、厚紙に必勝の文字…
クラスの皆の爆笑に包まれた。

「わ、私も一緒だった。」

何と裕子ちゃんも厚紙を持っている。
それ、直樹のだ。
またしても皆の笑いがおきる。

「…それ、俺の。
ごめんな。そんなやつで。」

直樹が消え入りそうな声で裕子ちゃんに謝る。

「え?何で?嬉しかったよ?
だって、必勝…負ける気がしないもん。」

(ジーン。
裕子ちゃん、やっぱり何ていい子なんだ。
わ、直樹、完全にもう落ちたな。
身体中から、お花が溢れてる。)

クラスの皆が引き終えて
私と克の番になった。

抽選箱に手を入れる。

(あれっ、1個しかない。
あ、そうか私の…、克大丈夫かな?)

そう思って舞が克の方を見る。

「大丈夫だから。とって。」

舞の耳元で克が囁いた。

舞が抽選箱の御守りをとる。

克も続けて抽選箱に手を入れた。

(克…、箱の中空っぽだよ。)

と舞が目を瞑った時

「やったー。ラッキー。
このピンクは、絶対女子からだー!」

と克が言った。

(え?いつの間に。)

克の手には確かに舞の作った
御守りが握られている。

< 40 / 294 >

この作品をシェア

pagetop