ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
御守りを手に舞と克は席に着いた。

「な、大丈夫だったろ?」

「何でー?私が取った時は
もう空っぽになっちゃったのに。」

「舞、これ見て。」

克が拳をつくって舞に見せた。

「ん?グー?」

「…ほらっ。」

そう言って克が手を広げた。
克の掌には、御守りが入っている。

「箱のところに持って行ってたんだ。」

ニカっと克が笑う。
するとそこへ優香ちゃんがやってきた。

「克くんに私のがあたらなくって
とっても残念。…それ、誰のかな?
縫い目もガタガタ。恥ずかしいくらい。」

そう言うと優香は鼻で笑った。

(優香ちゃん、それ私のなんだー。
確かに縫い目ガタガタだよね。
詩織が縫ってくれたところ以外。
…でも、克に言わなくてもいいじゃん。
恥ずかしいよー。)

そう舞が思っていると

「でもさ、その分一生懸命作ってくれた
ってわかるから、俺は嬉しいな。」

と克が言った。

「…そ、ならいいけど。」

不服そうな顔で優香は席に帰っていった。

「…克、ごめんね。そんなんで。」

舞が克に囁く。

「何で?嬉しいって言ったろ?」

「…でも…。」

「気にすんな。もぉ、これ俺のもんでしょ。」

「…ありがとね。」

「こっちこそ。」

克と舞は顔を見合わせて微笑んだ。
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