ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
「おはよー。」

「おはよ。」

ギリギリまで朝練をしているためか
克は朝礼がはじまるギリギリに
教室にくるようになった。

野球部は朝練がないが
かっちゃんも直樹もランニングしてから
教室に入ってくる。

特にかっちゃんは、放課後も
練習が終わったあと、キャッチャーの直樹と
投げ込みの練習をしている。
最近は気迫すら伝わってくるようになった。

(皆、ラストスパートだね。
私も頑張らなくっちゃ。)

そう思う舞。

バドミントン部も朝練はないが
放課後の練習は、よりハードなものになった。

今までの基本的なことに加え
実践的な練習が加わる。先輩たちが
相手してくれるのだが、先輩たちは
地区で連覇しているほど強い。
1年生はついていくのに精一杯だ。

「ほら、すぐかまえて。」

「打つコース考えてね。」

「足止めない。」

先輩たちから指導が入る。

ダブルスの練習でも
前、後ろに揺さぶられる。
拾うのがやっと。コース打ちどころではない。

「はい、すぐ位置に戻って。」

「腕おろさない。」

「体力ないね。筋トレして。」

その後も、休まることはなかった。



「あー。疲れたー。」

練習後、詩織が叫ぶ。

「…試合、大丈夫かな…。
正直、全然ついていけてない。」

と舞も肩をがっくり落とした。

「だよね…。だけど、クラスの皆も
頑張ってるし、私達もやれるだけのことは
やろう!じゃ、また明日ね。」

「うん。また明日ね。」

詩織と分かれて、とぼとぼと歩く舞。
(皆の足引っ張りそうで怖い…。)
連日のハードな練習で
舞は少し自信を失っていた。

[ブーブーブーブー]

着信…克だ。

「もしもし、克?どうしたの?」

「いや、舞、今どこ?」

「今詩織とわかれたとこ。
三叉路のところかな。」

「わかった。ちょっと待ってて。」

「え…。」

[ツーツーツーツー]

きれた。

(待っててってここにいれば良いのかな?)
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