ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
休憩を挟んで決勝。

「ここまできたら優勝したいね。」

経験者の梨湖と綾が言う。

「ダブルス、足ひっぱらないようにするね。」

詩織が言った。

「大丈夫大丈夫。無理せず楽しもう。
それに、シングル勝つから!」

梨湖がラケットを掲げて言った。

「ありがとー。頼もしすぎる。」

その言葉通り、梨湖と綾は
2ゲームを先取し、勝利。
しかし、相手は皆経験者だ。

他のシングルの2人と
ダブルスの舞と詩織は
完全に相手におされている。

先に1ゲーム取られてしまった。

ブレイクタイム中、梨湖が言う。

「自分たちらしくね。
ただ一つ言えるのは
先輩の練習の方が
きつかったから自信持って。」

こくんと頷く舞と詩織。
舞は鞄につけてある
御守りと桜のキーホルダーを握りしめた。

「克も今頑張ってるよね…。私、勝ちたい!」

2セット目、流れが変わった。
舞と詩織のダブルスも、シングルの2人も
自信を持ってシャトルを打つようになった。

際どいラインにも積極的に打っていく。

「も一本!」

応援にも力が入る。
ネット際にうったシャトルを
相手チームがレシーブしたが
ふわっと上にあがった。

そこへ詩織が回り込んでスマッシュ。
接戦の末、1ゲームを取り返した。

「凄いすごい。相手経験者だもんね?
このまま、いけるよ!頑張ろう。」

綾が興奮して言った。
シングルの皆も1ゲーム取り返している。

「うん、頑張るね。」

舞も詩織も、ラケットを握り直した。
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