ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
2日目の試合が始まった。

梨湖、綾はシングルスの試合
舞&詩織、香苗&さおりは
ダブルスの試合に出場する。

「自分達を信じて頑張ろう。」

「うん。」

舞と詩織はハイタッチした。

(克、見ててね。)
舞はぎゅっとキーホルダーを握りしめた。

先輩や梨湖達に教えてもらったことを
実践し、舞と詩織は順調に勝ち進んでいく。

「は、はぁ。」

「…ふぅ。…詩織?」

「何?」

「何か、昨日と違う気がする。
動けてるって、少しわかる。」

「私もそう思う。
いけるところまでいこう。」

詩織も舞も昨日の自信なさげなショット
ではなく、力がしっかりと入ったショットだ。

アウトライン寄りのところをめがけて
相手をゆさぶる。ミスしても、流れを
崩すことなく、積極的に攻めていた。

身体的にも精神的にも、たった2日間で
大きく成長している。やはり実践と
昨日の悔しさが2人を変えたのだ。
相手が経験者であっても、臆することなく
積極的なゲームを進めている。

「お願いします。」

ついに2人は準決勝まで進んだ。
相手は、昨日決勝で当たったペアだ。

「当たって砕けよう。」

舞が詩織に言った。

「え?砕けちゃダメじゃない?」

詩織がすかさずつっこんだ。

「あ、そっか。」

舞と詩織は2人で笑った。

舞の一言で、2人の緊張感は無くなった様子。
昨日の2人とはまるで違って、ゲームを
楽しんでいるようだった。
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