ハツコイ〜僕らははじめてだった〜
「ごめん、…ちょっと遅れた。」

息をきらして自転車を止める克。

「大丈夫?全然ゆっくりきて
よかったのに。」

「出る直前で、兄貴の雑用…
はぁ…頼まれてちゃって。」

「全然待ってないから、大丈夫だよ?」

「本当、わりぃ。ありがとう。
そしたら行こっか?」

今日は、2人のデートの日。
舞は昨日から、洋服をベッドに広げては
1人でファッションショーをしていた。

「可愛いー感じがいいかな?
それともスポーティーな感じかな?
…あー!わかんないよぉ。」

結局、無難なワンピースにすることに。
髪は、ゆるく巻いて、軽く化粧も。

克は、アメカジスタイル。
チェックのシャツにジーンズ。
皮のブーツを履いて、いつもよりも
大人っぽくみえる。

「舞、今日何か雰囲気違う?」

克が言った。

「変かな?昨日から服決まんなくって。」

「いや…凄い可愛い。」

照れて舞の髪を片手で撫でる克。

「克も、格好いいよ。
何か…大人っぽくて、ドキドキする。」

「何だそれ!全然テキトーだから!」

カラカラと自転車のタイヤが回る。
舞の鼓動もドキドキ音を立てていた。
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