西岡三兄弟の異常な執着
「はい、何でしょう?」
「ご主人様方は、とても厳しい方なのですか?
かなり森宮さんや、あと寺門さんが気を遣っていらっしゃるみたいなので……」
水樹はずっと気になってたことを、おもいきって問いかけた。

「そうですね。
厳しい……というより、恐ろしいと言った方がいいですね。
ご主人様、若様、坊ちゃまは、こだわりが強い上にそれぞれ執着も強いです。
これからお付き合いしていくと、わかってくると思います」
「わかりました。失礼のないように、努めます」
森宮の言葉に、水樹も大きく頷いた。

「仕事の内容については、明日からの実践で覚えていただきます。明日、僕に一日ついていただき、内容を把握してください。
質問等は、明日“だけ”受け付けます。
そしてこちらを、お渡ししておきます」
森宮が一枚の紙を渡してきた。
それを水樹が受け取る。

「これは?」
「シフト表です」
「は?でも、表だけで何も書かれていませんが……?」
水樹は首をかしげた。

「毎月のシフトは、皆さんで相談して決めてください」

「「「「「え!?」」」」」
水樹達は、目を真ん丸にして森宮を見た。
「月末にどなたでも構わないので“必ず”このシフト表を完成させ、僕にください。
これだけ広い屋敷です。
お一人での勤務は難しいです。
そのことを踏まえた上で、作成してくださいね。
いつ、誰が休もうと我々は関知いたしません。
逆に言えば、どれだけ休もうと自由です。
その代わりにその分、他の方の負担が大きくなる。
お分かりですか?
……………では、今日は五人で明日からのシフト表を完成させ、僕にくださったらお帰りいただいて構いません。
あとこれ、僕の携帯番号です。完成したら、連絡ください。
お疲れ様でした」

そう言い、森宮は部屋を出ていった。
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