西岡三兄弟の異常な執着
「最初に言っておく。
俺には、誤魔化しも偽りも効かない。
花苗、なぜ…今日一人で外に出た?」
黄河が花苗に向き直り、静かに語りかけるように言った。
機嫌は悪いが、花苗を見る目は優しい。

「どうして…それを知ってるの?」
「質問してるのは、俺だ。
先に答えろ」
「………山田さんに、朱雀から一緒にランチをしようって連絡があったって聞いたからだよ」
意をけっして、花苗は正直に話した。

「やはり、そうか……」
「でもどうして、知ってるの?誰に聞いたの?」
「基一だ」
「え……!?言わないでってお願いしたのに!」
「それは“朱雀には”だろ?」
「え?」
「基一は“朱雀には”言ってないぞ。
で、俺が朱雀に言った」
「え…そんなことって……」
まさか、こんな風に朱雀に知られることになるとは思わない花苗。
思わず肩を落とした。

「で?君はさぁ、僕の大切な花苗を、なぜ嘘をついてまで外に出したの?
僕はね……花苗を世界で一番愛してるの。
愛しすぎて狂ってるんだよね~!
そんな花苗を勝手に、汚ない外界に出すなんてあり得ないんだけど?しかも!一人で!!」
「そ、それは……」
「あと、コイツ等…君の知り合い?」
パサッと、二枚の写真を山田に投げつけた朱雀。

山田の身体に当たり落ちた写真を、拾い上げた山田。
その二枚の写真を見て、思わず小さく悲鳴を上げた。
「キャッ!!こ、これ……」
写っていたのは花苗をナンパした男二人で、しかもかなり殴りつけられた状態だったのだ。
写真ではわかりにくいが、生きているのかわからない程に……
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