西岡三兄弟の異常な執着
三兄弟の両親・特に母親は、息子三人を寵愛していた。
だから三人が使用人や部下など、花苗以外を見下すのは、もはや……両親のせいだと言っていいだろう。

【貴方達は、特別な人間】
【世界中の人達は、貴方達にひれ伏すべき】
【貴方達に、敵う人間はいない】
【貴方と同じ空気を吸えているだけでも、幸福なことなのよ】
と、幼少の頃から言い聞かせられてきたのだ。

その両親が、十年前に交通事故で亡くなった。
その時黄河は21歳、朱雀は20歳、真白は10歳だった。
両親に寵愛されて育った三兄弟は、悲しみに暮れていた。
そんな三兄弟を慰め立ち直らせたのが、他でもない当時14歳の花苗だったのだ。

黄河達の母親と花苗の母親が親友で、幼い時からいつも一緒だった花苗。
三人をどうにか立ち直らせたくて、三人に贈り物をしたのだ。
黄河達の母親の好きだったチューリップの花が刺繍された、お揃いのハンカチを贈ったのだ。

“これで、涙を拭いて?”と。

かなり可愛らしいハンカチだったが三人は凄く喜び、泣いてばかりだった黄河達に笑顔を引き戻させたのだ。
その日から毎年命日に、お揃いの贈り物をしている花苗。
三人は、お揃いの持ち物をとても喜ぶ。
なので毎年森宮に協力してもらい、花苗は贈り物を用意しているのだ。

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いつもより豪華な夕食。
命日に豪華な食事なんて不謹慎だが、黄河達三兄弟にとっては、両親が亡くなり、悲しみに暮れ、花苗のお陰で笑顔を取り戻し、そして三人で西岡家を守ると誓った日。

お祝いとまではいかないが、毎年豪華な食事を囲んでいるのだ。

食事が済み、いつものようにリビングにいる四人。
「黄河さん、朱雀、真白くん!
今年はこれを受け取って!!」
花苗は三人に贈り物を渡した。

「「「ありがとう!!」」」
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