西岡三兄弟の異常な執着
会場に着くと、沢山の会社の社員や関係者の人達が談笑していた。

黄河達を認めると、一斉に道を開ける。
その真ん中を颯爽と歩く黄河、朱雀、朱雀に手を引かれ花苗、そして最後に真白がゆっくり歩き奥の壇上に向かう。
花苗は壇上のすぐ下で待機し、黄河が挨拶をするのだ。

会場の人達は、三兄弟に見惚れうっとりとしながら話を聞いている。

しかし真白は、すぐに飽きる。
勝手に壇上を下り、森宮に言った。
「森宮、酒持ってきて!喉乾いた!」
「しかし、まだご主人様がご挨拶中ですよ。
壇上にお戻りください!」
慌てて、真白を壇上に促す森宮。

「あ?俺に口答え!?
お前、いい身分だな?」
「いえ…そのようなこと……」
「真白くん、お願い!壇上に戻って!
もう黄河さんのお話、終わるだろうから!」
花苗が困ったような表情で、真白を見上げ懇願する。

「………わかった」
「ん。ありがと!」
真白も花苗には、弱い。
こんな風な懇願をされると、言い返せないのだ。
おとなしく壇上に戻ったのだった。

「花苗様、ありがとうございました。
お陰で助かりました」
「ううん。大丈夫だよ!」
そして二人は再度、三兄弟を見つめた。

挨拶も終わり、またそれぞれ談笑や個々の挨拶をし始めた。
基本的に三兄弟と花苗は、離れない。
しかも朱雀は、花苗とずっと指を絡めて繋いでいる。
四人は固まって、談笑していた。


「会長!本日は、80周年のパーティーにお呼びいただき、ありがとうございます!」
一人の男性が、黄河に挨拶に来た。

「お前、誰?」
「兄さん、この人確か……ん?誰?」
「えー兄ちゃん達、わかんないのー?
……って、俺もわかんない」
三兄弟は、興味なさそうに男性を見ている。

「ちょっ…みんな、失礼だよ!
この方は、篠田大臣だよ」
花苗が慌てて、三兄弟に耳打ちをした。
< 40 / 93 >

この作品をシェア

pagetop