西岡三兄弟の異常な執着

三兄弟がリムジンに戻ると、花苗は森宮の膝枕で眠っていた。
森宮は、少し優しく微笑んで花苗の頭を撫でていた。

｢森宮！退け！花苗から離れろ！！｣
黄河の言葉で、森宮はハッとしバッと立ち上がった。
その拍子に森宮は天井に頭を打ち、花苗は森宮の膝の上から頭を落としそのまま座席に頭を打ちつけた。
｢……ってぇ…！｣
｢んんっ……｣
幸い…柔らかい座席の上だった為、特に何の衝撃もなく眠ったままの花苗。

｢花苗！？｣
朱雀が花苗の元に駆け寄り、頭を撫でた。
そして花苗の頭上に座り、ゆっくり花苗の頭を上げ自分の膝の上に乗せた。
｢若様、申し訳ありません！
座席にそのまま寝かせるには忍びなくて、枕代わりと━━━━━━｣
｢いい！今回は、大目にみてあげる。
それよりも、早く屋敷に帰りたい！｣
｢は、はい！かしこまりました！｣

足早にリムジンの後部から降りると、真白も後に続き降りてきた。
バン━━━━━━！！！！
そして森宮をリムジンのボティに押さえつけた。
森宮の耳に口唇を寄せて囁いた。

｢お前…苗にこれ以上、余計な感情を持つなよ？
お前がいくら優秀な西岡家の執事でも、苗とお前ごときが対等に付き合えると思うな……！！
お前が苗に特別な感情をもってることは、バレバレなんだから｣
｢も、もちろんです！
僕はあくまでも、使用人。
花苗様につり合うなんて、思ってません｣
ビクッと身体を震わせた森宮。
しかし真白を真っ直ぐ見据えて言った。

｢だったらいいけどよ…
その言葉、忘れるなよ？
“使用人”｣
そう言って、リムジンに乗り込んだ真白。
｢わかってる。
若様から花苗様を引き離す行為は、ある意味……
国内全てを滅ぼす……｣

外に取り残された森宮は、一人呟いたのだった。