西岡三兄弟の異常な執着
ぐったりして眠っている花苗を腕枕し、抱き締めた朱雀。

「花苗…僕から放れないでね?」
静かに呟き、額にキスをした。

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「失礼します。花苗様、お客様です」
昼食後、東屋でお茶をして日向ぼっこしていた花苗に、塩見が声をかけてきた。

「え?私にですか?」
「えぇ…西岡 紫苑(しおん)様と言う方です」
「え!?紫苑くん!?
リビングにお連れしてください!」
途端に花苗の表情が華やかになり、嬉しそうに屋敷に向かった。

「花苗ちゃん!久しぶり!」
塩見に連れられ、紫苑が一階リビングに入ってきた。
「紫苑くん!ほんと、久しぶりだね!
元気そう!!」

塩見はとても驚愕していた。
こんなに嬉しそうな花苗を初めて見たからだ。

「はい、これ!花苗ちゃんの好きなシュークリーム!」
「ありがとう!早速、食べよ?」
「フフ…可愛いなぁ~」
塩見がコーヒーを用意し、二人の元に向かう。
ソファに向かい合って座っている二人の雰囲気が、あまりにも甘い。

塩見の目には、お互い恋をしているように見えるのだ。
「コーヒーをお持ちしました」
塩見がテーブルにカップを置く。
「塩見さん、ありがとうございます!」
「新しい家政婦さん?」
「あ、はい!塩見と申します!」
「へぇー、俺は西岡 紫苑。
西岡三兄弟の従兄弟だよ!
よろしくね!」
ニコッと笑って、握手を求めてきた紫苑。

塩見は驚愕と、困惑が混じった感情に包まれていた。

明らかに西岡三兄弟と、性格、対応、言葉遣いが真逆だ。
三兄弟は握手どころか、挨拶さえもしたことがない。
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