西岡三兄弟の異常な執着
「ただいま~花苗~」
朱雀がいち早く中に入ってきて、一番に花苗を抱き締める。

「おかえり、朱雀!」
朱雀の胸に埋まった顔を少し出して、微笑む花苗。
「んー、僕の花苗~可愛い~」
「フフ…くすぐったい…」
キス責めをする、朱雀。

「朱雀、早く中入るぞ!」
黄河の呼びかけで漸く、花苗を腕を離し今度は指を絡めて握った。
「行こ?花苗!」
「うん…
黄河さんと真白くんもおかえりなさい!
お仕事お疲れ様!」
「ん。ただいま、花苗」
「苗、ただいま~今日は兄ちゃん達も入れて、トランプしよ?たまには兄ちゃんが付き合ってくれるって!」
「あ、うん。
でも今日は……」

「「「は?」」」
歯切れの悪い花苗に、三兄弟は花苗に向き直った。

「面白そうだね~!
俺も入れてよ!!」
そこに紫苑が現れた。

リビングで待っていた紫苑。
花苗がなかなか戻ってこないので、玄関まで来たのだ。

「「「紫苑!?」」」
突然の紫苑の出現で、三兄弟の雰囲気がピリッと張りつめた。
三兄弟は紫苑を鋭く見つめ、朱雀は花苗の手を握ったまま背中に隠した。

「そんなに警戒しないでよ!三兄弟!
久しぶりに花苗ちゃんに、会いに来ただけだから!」

「帰って!紫苑」
「そうだ、帰れ!!朱雀を壊したいのかよ!?」
「もう、苗のことは忘れる約束でしょ?」

「朱雀」
「何!?」
「そんな睨みつけないでよ!
“二人で”話、したいな。
従兄弟で、同級生で“親友だった”でしょ?」

朱雀を真っ直ぐ見据え言った紫苑だった。
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