西岡三兄弟の異常な執着
「なんだ?」
「花苗、どうしたの?」
「苗に笑われた…」
「花苗ちゃん、何?」
四人が不思議そうに、花苗に向き直る。

「やっぱり、四人は仲が良いなぁと思って……」
クスクス笑いながら、四人を見つめる花苗。
「………////」
「黄河さんも、朱雀や真白くんも文句を沢山言うけど…
なんだかんだでいつも、紫苑くんのことちゃんと受け入れているから!」
微笑む花苗に、思わず顔を赤くする四人。

「まぁな」
「一応、親友“だった”し」
「従兄弟だし」
「俺は、花苗ちゃんの為に三兄弟と仲良くしてる」
「フフ…学生の頃は、五人でいつも遊んでたよね?
あの時は楽しかったなぁ~
五人でゲームしたりとか、色んなとこ行ったり、あ!花火もしたね~
四人は喧嘩も沢山してたけど、とっても楽しくて……それで、それで……」
「「花苗……」」
「苗?」
「花苗ちゃん…」
花苗は話しながら、涙が溢れていた。

「花苗、泣かないで?」
朱雀が涙を指で拭い、頭を撫でる。
「うん、ごめん……」
「花苗、泣くな……」
「苗…苗に泣かれたら、どうして良いかわからない」
「花苗ちゃん、笑って?
約束したでしょ?
朱雀の嫁になるなら、幸せにならないとダメって!
笑って過ごすって!」
「うん、そうだよね…!」

花苗が、ニコッと笑った。
そして四人も、ホッとしたように微笑んだのだった。


花苗の涙に、動揺を見せる三兄弟。
しかしそれは“花苗”だから。
普段西岡三兄弟は、他人に心を動かされることはない。

その中でも黄河は特に━━━━━━
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