西岡三兄弟の異常な執着
「申し訳ありません!会長様!」
「お前、これで二回目だ。
俺様の許容範囲は、一度きり。
謝ったところでもう、許されない」
「君…クビ」
「早く、消えろ!」

会長室でのこと。
基本的に三兄弟の秘書は、森宮が務めている。
しかし三人は、個性が全く違う。
その為、森宮一人では務まらない時もあるのだ。
それを回避する為、秘書を別に雇うことになったのだがなかなか思うようにできない。
沢山の人間が、クビになっていた。

今回も二度目の失敗をし、クビにされようとしていた。

「そんな……お願いします!
やっと見つかった職場なんです!
次は、失敗しませんので!!」
女性秘書は、尚も黄河に懇願している。
「………」
「会長様!!」
「君、早く消えて!」
「黄兄ちゃんを、これ以上怒らせない方がいいよ」
「え?でも……!」

「…………往生際の悪い女だなぁぁ!!!」
黄河が声を荒らげた。
ビクッと身体を震わせた、女性秘書。

「あーあ、怒らせちゃった」
「俺、知らね」
朱雀と真白が、肩をすくめた。
「あ……会長…様…」
「なぜ、この俺様が、お前を二度も許さなければならない。お前に、それだけの価値も信用もない」
「そ、そんな…」
泣き出す女性秘書。

「………汚ねぇ」
「気色悪い」
「キモい」
花苗の涙にかなり動揺していた三兄弟。
でも今は、なんの感情もなく女性秘書を見ていた。

そしてそれは、屋敷内の家政婦達にも同じだ。

「キャッ!も、申し訳ありません!ご主人様!」
黄河が部屋で仕事中。
コーヒーを持ってきた松久。
手が滑り、コーヒーを書類の上にこぼしたのだ。

「お前……何を……!!」
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