西岡三兄弟の異常な執着

｢消えろ！！！出ていけ！！｣
黄河の声が屋敷中に響く。

｢ご主人様！？
どうされ……松久さん？｣
森宮が慌てて、黄河の部屋に駆けつける。
凄まじい怒りに包まれた黄河と、フローリングにひれ伏す松久。

松久は泣きながら、黄河に土下座していた。

さすがの森宮も、見ていられなかった。
黄河は相手がどんな人間でも、態度を変えない。
普通女性が目の前で、涙を流し懇願していたら心が動く。
少なくとも森宮は、どんなに頭に血が上っていてもそれ以上何も言えなくなるのだ。

｢森宮、コイツはクビだ！｣
｢………はい、かしこまりました…｣
森宮はそう言って、静かに黄河に頭を下げ部屋を後にした。

｢森宮さん！お願いします！
どうか、ご主人様に口添えを……｣
松久も慌てて森宮を追いかけ、声をかける。

｢申し訳ないですが、僕の力では無理です！
最初に言いましたよね？
少しの油断が失敗に繋がる。
でも貴女もわかってたはずです。
ご主人様に対して、失敗は許されないと。
………………それに、貴女の場合…自業自得です｣
そう言って、森宮は去っていった。
｢え……｣


｢ここでやめるわけには………
……あ、そうだ！｣
松久はその足で、朱雀と花苗の部屋に向かった。
｢花苗様、少しよろしいでしょうか？｣
｢はぁーい！｣
ドアが開き、顔を出した花苗。
｢あ、松久さん。まだ屋敷にいらしたんですか？
こんな遅くまで、ご苦労様です……！｣

｢あの花苗様、少し…相談が……｣
｢え？｣