Love Again 〜溺愛王子という恋の羅針盤〜

別れも出会いも突然に?!

それは突然でもなんでもなかった


「別れたい」
付き合っていた彼から静かに告げられる


放課後を告げる鐘の音と同時に恋が終わる


初恋だった
一年間付き合った挙句
このありさま

1年間初恋を延命しただけで
彼がほかの子と浮気を目撃をしてしまっても
うまくいかないのは目に見えていた


私がした事のせいで
すれ違ってしまったの?
もっと話し合いたい
私が消えてしまった訳じゃないのに
ずっと切れそうな絆のままで放置してほしくない
そう願ってきてた
彼が全てだった
彼となら上手くいくと思っていた

でも結局のところ
彼のことが好きで
責めるどころか
別れられなかった

今思えば
好きというのか
義務的な何かなのかもしれない
ただそこにあるものは何者でも無く
会えなかった孤独を数えても恋にもならない


裏の校舎に呼び出され
別れを告げられてしまい
気力も体力もすり減り
教室にも戻る気もなくなり
近くのベンチに座り込む




遠くから女性の集団

「角谷くん」
女子生徒が口々に名前を呼びかけている
校内に黄色い声が響き渡る
長身で少し切長の目元、ナチュラルセンターパートの爽やかなヘアスタイル
角谷誠はクラスメイトであって
同じ学年の女子に人気で女子生徒が沸き立っている主でもある

目の保養にはなるけど…遠分男性には興味ない
特に、女にモテる男はおなかいっぱいだ


うな垂れていた顔を上げた瞬間、角谷と目が合う


元彼から言われた言葉が今でもズシリと胸に刺さり美羽は目から涙が零れた


角谷は一瞬ハッとした顔をして釘付けられたように美羽を見る
一瞬角谷が何か小声で言ったが校舎に響く雑踏がかき消す
…が、すぐ女子に囲まれその場を去る


++++++++++++++++++++


放課後、、
腫れた目をほかの人に見られないよう
俯き足早に校舎を後にする

校門までの道のりがこんなに長いなんて感じなかったくらい足が重く感じる

失恋の痛みをどこにぶつけていいのか正直わからない



「君島美羽」
角谷が美羽に校門の前で声を掛ける

俯いた顔をあげると、角谷が目の前に立っている

「角谷くん?」
美羽は少し戸惑い驚く

「時間あるか?」
角谷は優しく話しかけた

「え…うー、、ん」
美羽は困ったように顔を歪める

彼氏に振られた後の泣き顔を思いっきり見られたのを思い出し、美羽は返事に困ってしまった


「いいから来いよ!」
角谷は強引に美羽の手を引く
何故そういう状態になっているのかもわからないまま、裏の校舎まで連れてこられる

今の美羽には角谷に呼び止められている理由も態度も詮索できるほど気力がなくなっていた


「今週末って何してる?俺と会わない?」
角谷は項垂れている美羽の手を強く握りしめた

「ごめんね、私そんな気分じゃないの」
覇気のない落ち込んだ表情の美羽
今にも泣きそうな顔
角谷が何か言っているが
何も耳に入ってこない

どうして?!止まらない
美羽の瞳から涙が溢れる
まだ彼のことが好きなのに…


「大丈夫か?」
角谷は唇を噛む
何も反応がない美羽に苛立ちを感じた

「…俺じゃダメか?」
角谷は美羽を強引に引き寄せ抱きしめる
外見とは隠れていた引き締まった筋肉と
彼に熱い吐息が美羽の耳にかかる
角谷に抱きしめられているのに嫌と不思議と感じなかった



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