天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~

「知らず知らずのうちに酒量が増え、それに伴い過食にもなった。食べては吐き、煙草を吸い、女もとっかえひっかえだ。しかし、絢美との結婚さえ叶えば、すべてが帳消しになる気がした。オペの腕ではお前に勝てなくても、絢美を手に入れこの病院の院長になれば、お前は最大の敗北を覚えるだろうと……」

 飲みすぎに過食、煙草……動脈硬化や高血圧を引き起こす危険因子ばかりだ。

 そしてなにより、強いストレスで心身に負荷がかかっていた。そういった複合的な原因により、大動脈解離を発症したのかもしれない。

「それで、俺たちにたくさんの嘘を?」

 思わずそう尋ねると、聡悟は自嘲めいた笑いをこぼし、頷いた。

「ああ。最近だけじゃない。お前には昔からくだらない嘘をついて、優越感を得ようとしていた。絢美がお前へのプレゼントを選ぶのに付き合うだけの外出なのに、まるでデートをするように装ったり、お前のことが理由で泣いている絢美を、抱きしめてもいないのに抱きしめたと言ったりな」

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