天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
幸い、多胎妊娠であっても私の経過は順調で、当初の予定通り、八月の下旬に帝王切開の手術を受け、元気な双子の男の子を出産した。
三十七週で産んだので最初はふたりとも小さめだったが、泣き声は大音量。
元気いっぱいで食欲も旺盛なので、退院してからの世話は本当に大変だった。
「お邪魔しま――っと、なかなか壮絶だな」
「泣き声、ふたりぶんですよね……。研修で新生児室行った時よりすごいかも」
退院後、一カ月余りが経った頃。聡悟くんと恋人の夕希さんが、休みの日に私たちのマンションを訪ねてきた。
ふたりは室内の散らかりようと響き渡る双子の泣き声に圧倒され、リビングの入り口でしばし固まる。
「聡悟……助けてくれ。猫の手も借りたい」
昨晩、仕事から帰ってきたまま双子の世話に追われ、睡眠不足でげっそりした勇悟が聡悟くんの服を掴んですがりつく。
その手には長男の真志を抱っこしているが、大泣きしている最中。ミルクもあげたしおむつも変えたのにご機嫌斜めで、お手上げ状態なのだ。