天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
「絢美さん、大志くんの授乳、変わりますよ」
ソファに歩み寄ってきた夕希さんが、はつらつとした笑顔で両手を広げる。
出産直後は、あまりほかの女性に赤ちゃんを触れさせたくない、いわゆる〝ガルガル期〟が私にも多少あったけれど、今は攻撃的になるエネルギーもない。
夕希さんは看護師でもあるし、私は安心して大志と哺乳瓶を彼女に預けた。
「ふたりは少し休むといい。このままじゃいつか倒れる」
聡悟くんの言葉に勇悟と無言で目を合わせ、同時に「うん」と頷く。
夫婦でフラフラと寝室へ向かうと、私たちは電池が切れたようにベッドに倒れ込んだ。
どれくらい時間がたっただろう。夢も見ずに深い眠りを貪った私は、とてもすっきりした気分で目を開ける。
隣ではまだ勇悟がぐっすり眠っていて、私は久しぶりに甘えたい気分になり、彼の懐に潜り込んだ。