天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
「焦らないで、絢美。一週間後にまたデートをしよう。それまでに返事を決めてほしい。もちろん、いい返事を期待しているよ」
昔から変わらない、聡悟くんの優しい笑み。だけど今日はどこか有無を言わせない迫力があって、私はこくんと頷くしかなかった。
もしかしたら、このまま本当に聡悟くんと結婚することになるかもしれないな……。
他人事のようにそう思うと、胸にちくりと痛みが走った。
いつまでも子どものまま、三人で笑っていられたらよかったのに。
私は現実から目を背けるように窓の外に視線を投げ、私たち三人が初めて出会った場所である、海辺の遊園地を眺めた。彼らと過ごした時間の記憶が、走馬灯のように頭の中を巡る。
あの頃、勇悟に好きだと伝えていたらなにか違ったのかな。いや、彼はなににも縛られない人だ。きっと私を置いて、海を渡っただろう。
これ以上勇悟を想い続けても報われない。いい加減そのことを理解して、新しい一歩を踏み出す時期に来ているのかもしれない。
聡悟くんとの未来についても、真剣に考えてみないと……。