天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
最愛の人に身を委ね
言葉少なに食事を終えた私たちは、ビルを出てタクシーに乗り込んだ。勇悟はシートの上で自然と私の手に指を絡めて握り、運転手に行先の住所を告げる。
「どこに行くの?」
「俺んち。帰国してすぐ、即日入居可で、家具・家電・ハウスキーピング付きのマンションを借りたんだ」
「そうだったんだ。これから仕事忙しくなるもんね」
納得して頷いていると、不意に勇悟が顔を近づけてきて、耳打ちする。
「……実家じゃ、なにかと不都合だからな」
そう言って、そのまま耳のふちに軽く口づけた。思わずびくっと肩をすくめ、勇悟をにらみつける。
勇悟はクスクス笑って顔の位置を元に戻したが、乱された私の鼓動はなかなか収まってくれそうになかった。
およそ十数分で到着したのは、ガラスカーテンウォールの外壁が都会的な印象の、十七階建てマンションだった。コンシェルジュが常駐するエントランスを通り、エレベーターで十二階の彼の部屋を目指す。タクシーを降りてからも、手は繋ぎっぱなしだ。