あなたの声が聞きたくて……
翌月、ようやく緊急事態宣言が解除された。

私たちはオフ会の日程を練る。

みんなは当然、週末がいいと言うけれど、私は基本的に週末は仕事だ。

どうしよう。

休めるかな?

店長に相談してみようか?

でも、きっと高野さんから、嫌味の嵐が来るのは目に見えてる。

でも、みんなに会えるチャンスなんて、もう二度とないかもしれない。

私は翌日、こっそり店長に相談を持ちかけた。

「すみません。実は、来月、滅多に会えない友人と会えることになったので、土曜日に休ませていただきたいんですが……」

それを聞いた店長は珍しそうに私を見た後、クスリと笑った。

「三島さん、そういう時は、普通は、法事が、とか、結婚式が、とかって嘘でも言い訳をするもんだけど、ほんと正直だな」

店長は、笑いながら私を見ている。

そうかもしれないけど、なんとなく嘘はつきたくなくて……

「いいよ。いつも頑張ってくれてるから、なんとかするよ。ただ、表向きは、友人の結婚式ってことにしておこう」

良かった。

店長の笑顔に、私はほっと胸を撫で下ろした。


私はその夜、オフ会へ出席できるとオンラインカラオケの友人たちに伝えた。

友人たちは喜んでくれて、今からワクワクが止まらない。


そして、1週間後、翌月のシフトが配られた。

私は希望通り、土曜日が休みになっている。

そして、その日、店長は3時で早退になっていた。

もしかして、店長も何か用事があるのに、私が休むから、早退にしたの?

私は慌てて店長に確認する。

「店長、何か用事があるんじゃないですか? もし、そうなら、私……」

言いかけた私を店長は、手で制した。

「俺もね、大した用事じゃないんだ。だから、大丈夫。夕方からでも間に合うから」

店長にそう言われてしまうと、それ以上は何も言えない。

私は、店長の好意に甘えることにした。

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