『君』の代わり。

自分が下りる駅の駅名が

アナウンスされて電車から下りた



駅に着くまでに泣きやむ!

電車の中で呪文のように何度も唱えた



このタオルを外したら

もぉ涙は出てない

はず



「朝日奈、大丈夫?」



「うん…」



星野の声が聞こえて

タオルを外した



「大丈夫だよ!
私、東京行きたいな」



「どぉしたの?急に…」



泣いてたことに

触れられたくなかった



「ん?
ずっと前に
行ってみたいなって言わなかったっけ?
そしたら星野案内してよって…」



「うん…言ってたかも…」



「忘れないでね
約束だから…」



「うん、忘れないよ
覚えとく…」



先輩のこと

聞かれたくなかった



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