『君』の代わり。

「おばあちゃん、私も柿剥くの手伝う!」



ばあちゃんのところに逃げた



めっちゃ照れてた



なんだよ…



こっちも恥ずかしくなる



かわいい

かわいすぎる



ばあちゃんいなかったら

ヤバかった



「おばあちゃん、おいしい!」



「そぉ、よかった
いっぱいあるから
ひなちゃん少し持って帰ってくれる」



「やったー!ありがと

星野も食べる?」



なんだよ…



めっちゃ普通じゃん

さっきあんな照れてたクセに



「はい、星野
アーン…」



朝日奈が柿を刺したホークを

オレの口に近付けた



また

オレの反応見てる



「オレ、柿キラい」



「アンタ、ちっちゃい時
渋柿食べたからね」



「これは美味しいよ!
食べてみなよ、星野…
ほら、アーン!」



「いらないって…」



ばあちゃん見てるし

朝日奈もオレの反応見てるし

意地でも食べたくなかった



「1個だけ!」



「いらないって…」



「それにしても
アンタ達、最近増々仲いいね

隣の佐藤さんが
アンタが駅で女の子と
イチャイチャしてたの見たって言うから…」



「イチャイチャなんかしてないし!」



ムキになって言った



ばあちゃんの耳に入らないように

手も繋がないようにしてたのに…



「ひなちゃん、お付き合いしてるん?」



ばあちゃん

質問が唐突すぎ



オレの機嫌が悪くなったから

ばあちゃんは

朝日奈に聞いた



「星野
お付き合い…してるの?」



朝日奈もオレに聞いてきた



なんだよ…



また揶揄ってる?



「朝日奈、そろそろ帰れば…」



照れ隠しで

そんなふうに言ってしまった


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