『君』の代わり。

「今日、もぉ帰るんだね…」



朝日奈が名残惜しそうに言った



「うん、夕方には帰るから
早く支度して
朝日奈の行きたいところ行こうよ
昨日どこも行かなかったもんね
全部行けるといいけど…」



「どこも行かなくていい…
星野と一緒にここにいたい」



朝日奈?

あんなに楽しみにしてた東京なのに



こんな狭い

オレの部屋



「朝日奈の欲しいものも買えないし
せっかく東京来たのに、いいの?」



「うん、星野がいればいいよ
星野がいれば、何もいらないよ」



ーーー

ーーーーー



用意されてた朝食も食べずに

オレたちは夕方まで

オレの部屋にいた



狭い部屋

小さいベッドで

ずっと過ごした



この部屋が

オレと朝日奈ふたりだけの

星みたいで

ずっとここにいれたらいいな…って思った



誰にも邪魔されない



ここにずっとふたりでいたら

朝日奈は

ずっとオレを好きでいてくれる気がした




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