『君』の代わり。

春休みは

星野は

おばあちゃんの知り合いに頼まれて

家庭教師のバイトをしてた



私は

星野と遊ぶお金がほしくて

春休みは短期のバイトをしてた



星野は夜の家庭教師

私は昼のバイト



夕方、星野の家に行っても

星野はいなくて



おばあちゃんとご飯を食べて

帰る頃

星野が帰ってくる



暗いから星野が送ってくれる

1日のうちのほんの片時が

私の至福だった



「家庭教師って楽しいの?」



「楽しくないよ
できれば行きたくない
でもばあちゃんに頼まれてるから…」



「おばあちゃん喜んでたよ」



「まぁ、そぉなんだけど…
朝日奈とも遊べないし…」



「遊ぶところないし…
私も春休み頑張ってバイトする」



何もないけど

星野がいるから

この町の色が

風が

匂いが

今までと違って感じることがある



「花が咲いたら公園でデートしよ」



「うん!おばあちゃんも行くかな?」



「それじゃ、デートじゃないじゃん」



「そっか…」




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