『君』の代わり。

新学期が始まって

桜が咲いた



去年は

この風景に

星野はいなかった



1年前は

まだ先輩がいた



この風景にも

私の心にも



「ねー、星野…」



「なに?」



気付けば

自然と手が繋がれてて



「好きだよ」



「うん、オレも好きだよ」



好きだよって

お互い

心から想う



「大好きだよ、星野」



1年前は

星野になかった感情



付き合ってから

どんどん大きくなって

気付いたら

付き合った時より

ずっと

星野が好きになってた



「照れるから、もぉ言わないで…」



いつも冷静な星野が

少し動揺するのが

可愛くて



「いいじゃん!
だって、星野が好きなんだもん」



「わかったから…」



ーーー



キスされたら

今度は私が恥ずかしくなる



「あ…」



星野の髪に落ちた桜の花びらを取った



「ありがと、朝日奈
オレのこと、好きになってくれて…」



最初は星野が私を好きって言ってくれた



今は

たぶん



星野より

私の方が

星野を好きだと思う



だからね

たまに

不安になる



星野は

まだ私を好きかな?

どれくらい私を好きかな?



ずっと好きでいてくれるかな?



ねー、星野



私は

ずっと

星野が好きだよ



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