『君』の代わり。


何もなかったみたいに

兄の彼女が部屋を出て行って

急に虚しくなった



2度目に唇が触れてから

朝日奈を忘れてた



目の前のことに夢中だった



下着を直しながら

「向こうでもしてたの?
田舎の子って進んでるって言うもんね
遊ぶとこないからかな?」

兄の彼女がそう言って

すぐに朝日奈の笑顔を思い出した



してねーよ

したことなんてないよ

キスも初めてだった



朝日奈は

そんなことするような子じゃない



田舎の子は

純粋だよ



彼氏の弟相手にするような

誰かみたいに汚くない



先輩が手を繋いでた話を聞いてた

朝日奈は

それだけで頬を赤らめてた



そんな純粋な子に

無理矢理キスなんかできないよ



オレがこんなことしたって知ったら

朝日奈は

きっと軽蔑すると思う



もぉ一生

口もきいてもらえないかもしれない



オレに

朝日奈を好きになる資格なんて

きっと最初からなかった



告白なんかして

バカだった



ふられて

当たり前だった



朝日奈

ふってくれて

ありがとう



でも

好きだった



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