『君』の代わり。
「星野、髪切ったの?」
玄関に向かう廊下で
朝日奈と並んだ
見てるだけでいいのに
話しかけられて嬉しくなった
「うん、伸びてたから向こうで切った
だらしないって親に言われて…
初日に母親が勝手に美容院予約した」
嬉しくて余計な事まで話した
「へー…向こうの美容院てオシャレそうだね
星野、その髪型似合ってるよ!」
「ありがと…」
恥ずかしくて
朝日奈の顔は見れなかった
「ピアスも、あけたの?」
「あ、うん…」
髪で隠してるつもりだったけど
朝日奈にバレた
こっちに帰って来て自分であけた
たぶん
何かの償いのつもりだった
朝日奈は
ピアスのことは
似合ってるよって言ってくれなかった