『君』の代わり。

誰?

アレ



私の知ってる耀先輩じゃなかった



先輩は私のこと知らなかった



話したことあるのに…

優しかったのに…



ダイエットして

私そんなに変わったかな?

今日少しだけメイクしたからかな?



ちがうよね

朝日奈って名前を言っても

ピンときてなかった



嘘でも

あー…って

言ってほしかった



私の知ってる先輩は

爽やかで優しくて

サッカー部で頑張ってて

髪だって短髪で染めてなんかなかった

ピアスもしてなかった



先輩と一緒に帰った人は

私と正反対の人だった



綺麗に染まった長い髪からいい匂いがして

テレビで見る人みたいに可愛くて

胸が大きくてスタイルが良かった



真面目に真新しい制服着てる自分が

凄くダサく感じた



先輩は

ボブが好きって

何情報だったんだろう

髪、切ったのに…



私だって今日

新しい下着つけてるよ



私だって今日

いい匂いのシャンプーで髪洗って来たよ



私だって今日までずっと

ずっと

先輩を好きだったよ



私だって先輩と

手を繋いでイチャイチャしたかったよ



イチャイチャ



先輩のイチャイチャは

手を繋ぐとか

そんなんじゃなくて…



先輩が言う友達は

彼女ではないのは勿論だけど

普通の友達じゃないって

初心な私でもわかる



「考えてみてよ」



先輩の彼女には

一生なれないということ



「考えてみるね」



先輩は何を考えてくれるの?

私が先輩のそーゆーことの対象になる子か?

私が先輩を満足させられるか?



そんなのヤダ



そんなの…



まだキスもしたことないのに…

先輩がしてることは

私にとって未知の世界だ



風が吹いて

晴れた空に

桜の花びらが舞った



私の思い描いていた高校生活は

こんな色だったはずなのに…



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