『君』の代わり。
朝日奈
やっぱり先輩と付き合うのかな?
「星野くん、陳列の場所まちがえてるよ」
「あ、すみません」
さっき先輩といた朝日奈を見て
バイトどころじゃなかった
朝日奈を
先輩に変えられるのが
嫌だった
先輩の好みの女になんか
させたくなかった
朝日奈は
オレの時とは違う気持ちで
先輩とキスするんだろう
キス、だけじゃないかも…
あの先輩は
どれだけ朝日奈を好きなんだろう
どれだけ朝日奈を大切にしてくれるんだろう
いつも手を繋いでる女の子のうちの
ひとり?
絶対
オレの方が朝日奈を好きだし
オレの方が朝日奈を大切にするのに…
なのに朝日奈は
先輩を選んだ
朝日奈の気持ちは
オレにない
「星野くん!」
「あ、はい!」
「今日、変だから、もぉあがって!
ドリンクの場所におにぎりあったから」
「すみません」
「あ、もしかして星野くん
彼女できた?」
「できてません」
店長は何も悪くないのに
店長が心からウザいと思った
「あの子、星野くん待ってない?
外…
この前、一緒に帰った子だよね?」
背伸びして外を見たら
朝日奈の横顔が見えた
「すみません
おつかれさまでした」