『君』の代わり。
「朝日奈、もぉ少しさがらないと危ないよ
ホーム、電車来るよ」
星野に手を引かれて
我に返った
それと同時に同じホームに
耀先輩がいることに気付いた
持ってたカフェオレのカップを落とした
いつの間にか空になってた
私より先に
星野が拾ってゴミ箱に捨ててくれた
「混んでそうだから、次の電車にする?」
星野に言われて頷いた
電車の中の耀先輩をホームで見送った
スマホを見てて
私には気付いてなさそうだった
きっと私は
先輩のタイプじゃないんだ
先輩のタイプだったら
人混みでも目を引くはず
名前だって
知ってたはず
ちゃんとリサーチしたのにな…
先輩の好みの女の子のタイプ
アレも
先輩が中学生の時の情報だったのかも
私が好きだった頃の
先輩の好きな女の子のタイプ
今日先輩が一緒にいた人を思い出して
ボブになった毛先を触った
ひと昔前に流行った服を着てるみたいで
自分の髪も
ダイエットした身体も
すぐに着替えたい気分になった
あの人みたいになったら
先輩は私を相手してくれるのかな?
ふられたのに
まだそんなふうに考えてしまう