『君』の代わり。

朝日奈の小さな背中を見ながら

歩いた



結んだ髪が歩く度に揺れた



この町に来て

この子を好きになった



でも

ふられて



でも

好きで



でも

好きになったらダメで



でも…



抱きしめたくなる



この前

オレに倒れてきた朝日奈の感触を思い出した



小さくて

柔らかくて

温かかった



いつかの

誰かとは

ぜんぜん違った



忘れたい過去と

忘れたくない想い



オレはもぉ

一生

朝日奈を抱きしめることは

ないんだろう


抱きしめたらダメなんだ



朝日奈の足が止まった



「なに?疲れた?」



「うん、疲れた
だから置いてっていいよ」



「なんで?」



「さっき
バテたら置いてくって言ったじゃん、星野」



「言ったけど…」



朝日奈の手をそっと繋いだ


繋ぎたくなった



「これなら、歩けるの?」



「うん…」



嫌だったら

逃げれるくらい

緩くしか

繋げなかった



また朝日奈と一緒に歩いた


空がオレンジからピンクになり始めた



朝日奈の白い頬に

ピンクが映った



先輩に手を引かれてた

朝日奈は

嬉しそうに見えなかったけど



今の朝日奈は

どんな気持ちなんだろう



「朝日奈…
足、痛くない?」



「うん…」



「朝日奈…
まだ歩ける?」



「うん…」



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